こらむネタ帳 久和山武輝

いつかきた道を歩んでいるのか

 
 個人情報保護法が、ドサクサまぎれのうちに成立した。報道や報道機 関は、罰則の対象外となっているせいか、テレビや新聞などのマスコミ での取扱いはクールで関心が少ないように思う。
 報道機関には著述を業として行なう者も入るという。著述業であるか ないかを判断するのは主務大臣のようである。まさか無名の新人や作家 が主務大臣に著述業と認められることは、事実上不可能だろう。
 報道は法律の適用外となっている。ただし、報道であるか否かを判断 し、決めるのは主務大臣となっている。報道外と主務大臣に判断された 場合、取り締まりの対象となってしまうのである。法違反と認めたら、 主務大臣の権限で罰金や懲役が課せられるという内容である。あらゆる 判断が主務大臣、つまり官僚や役所にまかされることになっている。
 書籍や雑誌は、報道の範囲に含まれていない。したがって、この法律 を悪用すれば、言論出版の自由が制限されるおそれがある。また、個人 にかかわる取材や調査には厳しい規制がある。本人の同意がなければ、 個人情報を取り扱ってはならないし、第三者に提供禁止となっている。 個人のプライバシ−保護の観点からは当然のようであるが、これでは、 ある個人を対象とした批判的な小説、評論、記事などが制限されるおそ れがある。政治家、官僚、企業などの不正を調査取材する際にも、本人 の同意が必要とされているので、不正の調査は合法的には不可能となる。
 なんだか暗い日本になりそうだ。戦前のことは、活字でしか知らない。 皇国少年として育った作家の城山三郎氏は警告している。「この法律は、 権力者による権力者のための政治の産物である」と。
 蛇足ではあるが、出版人コムは報道機関と認められないが、個人情報 取扱事業者として扱われることだろう。なんだかいやだな。

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