はぐれ記者のマスコミ見聞録  植野満

男だってダイエット

 先日、ベルトの穴をふたつほど増やした。ベルトを最大限に締めてもゆ るく感じて、ベルトの役割を果たさないようになったからである。久しぶ りにメジャーでウエストを測ってみたら、なんと3センチも細くなってい るではないか。ウフフ。
 2カ月前に「今年は海やプールに行くぞ」と目標を立て、ウエスト減量 作戦を決行した。毎朝、毎夕のウォーキングと、腹筋と背筋を強化する簡 単な体操、さらに鉄棒運動などいくつかのメニューを組み合わせて、毎日 欠かさず励行してきた。合計で小1時間のお手軽な運動メニューだ。
 それが効を奏したのか2カ月で3センチのダイエットに成功したのであ る。成果が出ると欲が出てくるもので、年内に「さらに5センチ減量」を めざすつもりだ。今年は間に合わなかったけれど、来年の夏はそこそこの 体型で海辺を歩けるようになりたいと思っている。
 40歳を過ぎたころから、例にもれずお腹がもっこりと目立つようにな り、真横から見ると「妊娠4カ月」(家族の診断)の体型になってしまっ た。秋から春にかけては、スーツやジャケット、あるいはセーターなどを 着ることで、その中年腹もなんとかごまかせるのだが、夏場にTシャツな どを着るとモロにその体型が分かってしまう。もう開き直る年代であって も、やはり人の目は気になるものだ。
 ダイエットは女性にとって最大の関心事のようだ。勤めていたころ、職 場の女子社員に「何か、ダイエットに効くいい通販商品はないですか」と 尋ねられたことが何度もある。そういうときは、ビスケットのようなダイ エット食品を販売していた通販会社があったので、購入方法を教えてあげ たら、すぐ買い求めて”昼ごはん”として愛用していた社員もいた。その 反応の早さを見て、女性のダイエット商品に対する関心の強さをあらため て認識したものだ。
 それにしても、痩せる必要のない体型をした女性でも「もっと痩せたい」 と思うのはどうしてだろう。他人に見られてどうこうというよりも、現状 に自分が納得できるかできないか、という個人それぞれの「美意識」に基 づくものだろう。それに比べると男のダイエットは「腹をへこませたい」 など単純そのものだ(私だけかもしれないけど)。
 その通販会社の経営者とは知り合いで、あるときに「劇団員を紹介して くれないか」という相談を受けた。イメージガールを探しているというこ とだったので、劇団とつきあいのある知人に連絡したら、女性の劇団員を 推薦してくれた。数万円のギャラで交渉が成立したようで、チラシやカタ ログに登場することになった。
 ところが、そのカタログには顔写真とともに「私も使っています」とい う見出しがあって、その下にこのダイエット商品を愛用したおかげでこん なに痩せました、というコメントが載っていた。イメージガールではなく 愛用者として登場していたのである。こうした「痩身・ダイエット」広告 の場合、愛用者のコメントを掲載し、よりPR効果をねらうのを常套手段 としていることは知っていたものの、まさか紹介した劇団員を”さくら” に使うとは思わなかった。その経営者にちょっと電話で抗議したところ、 本人の了解を得て載せたと言ったので、それ以上は追求しなかった。こう したダイエット広告の文面は100%うのみにしないほうが賢明である。
 女性を対象にしたダイエットビジネスは昔から大繁盛だが、最近は男性 を対象にした痩身のトレーニングマシンやエステも人気らしい。ある痩身 エステの広告によると「週2回、3カ月でウエスト5センチ縮小」とある。 それが本当だとしても1回8000円だから、5センチお腹をへこませる のに20万円もかかることになる。多忙な中年ビジネスマンにとっては、 便利なダイエット法かもしれないけれど、それにしても高い。私はタダで 3センチもへこませたぞ。ウフフ。

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