カメラ小僧たちが行く
それは、これまでに見たことのない奇妙な光景だった。小さなステージ
のお立ち台で、ポーズをとる超ミニのかわいいイベントコンパニオンをね
らって、30人ほどのカメラマンたちがシャッターを切り続けていた。そ
の美人コンパニオンもカメラを意識してか、精一杯の笑顔をつくり、カメ
ラマンたちの要望に応える。
もちろん、そのカメラマンたちは、報道カメラマンではない。アマチュ アのいわゆる「カメラ小僧」といわれるマニアたちで、撮影する姿は真剣 そのもの。その撮影風景がなんともおかしくて、私は美人コンパニオンの 背後にまわって、彼女をねらうカメラ小僧たちを撮らせてもらった。 そのイベントは幕張メッセで開かれた情報通信関連の展示会だった。こ うしたイベントでは、コンパニオンなどがステージで大画面を背景に新商 品を説明したり、新しい情報を提供したりする。説明するコンパニオンを やや離れたところから、来場者がカメラやデジカメで撮影するというのは これまでにもよくあったことだ。 しかし、そのときのコンパニオンは商品を説明するわけでもなく、ただ 笑顔をふりまきながら、ときにはカメラ小僧たちに背を向けて、なにげな く前かがみになったりするのである。それを待っていたかのようにいっせ いにシャッターが切られる。これは明らかに撮影会である。お立ち台にい たコンパニオンはおそらく撮影用に契約されたモデルではないだろうか。 仕事がらみも含めて情報通信関連のイベント取材はかなり経験してきた が、こうしたカメラ小僧を意識した”撮影会”を会場内で見たのは初めて である。それは、携帯電話会社のブースで行われたもので、来場者をブー スに引きつける新手の企画だったのかもしれない。 会場内では、気に入ったコンパニオンに声をかけて、写真撮影をするカ メラ小僧たちがいる。これはイベント会場ではごく普通の光景ではあるが、 撮影後はなにもなかったように立ち去るいかにもおとなしそうなカメラ小 僧もいれば、そのままま話し込んで「友だち関係」をつくろうとする怪し げなヤツもいる。 おそらくこうしたカメラ小僧の行動に「ありがた迷惑」と思っているコ ンパニオンもいるだろう。ただ、ひとつだけ言えるのはカメラ小僧たちの 「被写体を選ぶ目」はさすがだなあ、と感じたことだ。コンパニオンの誰 でもが被写体になるわけではない。人気のあるコンパニオンはたくさんの カメラ小僧に囲まれるし、やはり、とこかに魅力を持っているのである。 さすがに、彼らの輪のなかに入って、超ミニの美人コンパニオンを下の 方から撮るのは恥ずかしいのでやめた。参加したい気持ちがなかったわけ でもないけどー。 |