電話セールス撃退法しかし、そのほとんどはセールス目的の電話だ。しかもそのほとんどが つれあいや、娘、息子へのアプローチで、私を対象にしたものはごくわず かである。なんだかさびしい気持ちもある。 昼間はつれあいと娘は会社、息子も大学かアルバイトに出かけているの で、昼間に在宅しているとすれば私だけ。だから昼間の電話セールスは私 が一手に引き受けることになる。 電話をかけてくる業者は、化粧品会社、エステサロン、美容院、ハウス クリーニング、予備校、不動産業者などさまざまなのだが、プロと思われ るセールスマンもいれば、電話セールスの経験のまだ浅いアポインターも いる。ちょっとヒマなときは、気分転換におつきあいをさせてもらうけど、 私だって忙しいときもある。 そういうときの撃退法はこうだ。相手のことなどおかまいなしに「いま 忙しいから」、「ああ関係ないから」と言って電話をガチャンと切る。向 こうから勝手にかけてきた電話だから、無愛想にしても失礼にはあたらな い。 また、こちらから切らなくても、業者は「○○子さんいますか」と名指 しでかけてくるので「いません」と言えば、相手からあっさりと切ってく れる。昼間、家にいるような怪しげなおっさんに化粧品やエステの勧誘を しても仕方ないわけで、業者が相手にしないのは当然である。 同じ業者からの電話があまりにもしつこいので、ある日、「○○子さん いますか」という電話に「はい、私ですが」と冗談をかましてみた。そう したら相手は怒ったように「○○子さん本人をお願いします!」と声高に 言うので、「だから私が本人です」と低い声で答えたら、相手は電話を切っ てしまった。これもシャレだから失礼にはあたらない。 もうひとつの撃退法は、業者がペラペラしゃべり始めたら、まったく応答 せずに相手にしゃべらせる。そうするとあきらめて電話を切る。相手の勧 誘を聞きたくなければ受話器を置いたままで、仕事を続けるのである。 こうした電話セールスが毎週10本以上もあるせいか、最近では受話器 を取るときは「また電話セールスだろう」と決めつけて、最初の「もしも し」を低い声で対応するようになってしまった。だから仕事関係の人やま ともな用件で電話をかけてくる人には悪い印象を与えて迷惑をかけている ようだ。 失敗もある。いつものように若い女性から「○○子さんいますか」とい う電話があった。それで「私ですが」と答えたら、相手はビックリしたよ うに一瞬沈黙したあとに、「中学時代の友人ですけど、同窓会の件で・・・」 とおびえたような声を出すではないか。あわてて「あーすみません。最近 セールスの電話が多いもので・・」と弁解したもののあとの祭りだった。 後日、同窓会に出席した娘からは「彼女が怖がってた。恥ずかしいからも うイタズラ電話はやめてよ!」と怒られる始末。ああ反省。 電話セールスに迷惑している消費者は多い。しかしビジネスになってい ることも事実である。ほとんどの消費者はすぐ電話を切ったり、「要りま せん」とはっきりと拒否したりするけど、なかには電話セールスだけで商 品やサービスを買ったりする消費者もある一定数いるのである。 たとえば10人に電話をかけると、そのうち1人は話を聞いてくれる。 そして、話を聞いてくれた人のうち10人に1人は買おうかな、と思うの である。さらに買おうかな、と思った人のうち半分は実際に商品やサービ スを買う。つまり、逆算していくと200人に電話をかけると1人は契約 してくれることになる。これは電話セールス業界ではひとつの法則となっ ているのである。 最近は不況の影響もあって、その法則もやや崩れて「200人以上で1 人契約」という状況にはなっているけれど、それでも電話セールスはビジ ネスとして成り立っている。でも業者のみなさん、私のようなひねくれ者 に電話しても商売にはなりませんよ。 |