なにかがおかしい 久和山武輝

 今年のニュース面は、昨年後半に引き続きイラク、北朝鮮問題であふ れている。開戦のカウントダウンが始まっている。戦争は一方から見れ ば、正義のための合法的な国家殺人行為である。犠牲になるのは、国民 市民と前線の兵士である。悲惨な戦争だけは、避けたいものと願ってい る。国家を代表する指導者、政治家、外交官はなにをしているのだろう。 それらのひとが、まさか戦争を望んでいるとは考えたくない。
 国民の生命と市民生活を守るのが、国の指導者層に与えられた唯一の 仕事である。そういう名誉ある仕事に日夜没頭しているので、指導者は 尊敬されている。名誉あるという言葉はすでに死語になったのだろうか。
 国家財政についても、破綻の崖っぷちである。ほとんどの地方自治体 の財政は、すでに破綻している。破綻していることを自覚しないで地方 自治、地方自治と叫んでいる。いつまでも親である国が面倒をみてくれ る(財政補助)と考えている放蕩息子と同じである。親が借金まみれで 瀕死の重傷であることを知ろうともしない。税金はみんなで使えば怖く ないと考えているのだろう。それとも、すべてをご破算にしてゼロから 出直すことを望んでいるのだろうか。
 国家財政が破綻した場合、IMFのもと国際管理となる。国債、年金、 預貯金もすべて凍結されてしまうのが通例である。大金持ちは、事前に 財産を外国に移転しているだろう。戦争は国家間の問題であり、一国で は避けられないこともある。国家財政はほとんどが国内問題である。
 沈みゆくタイタニック号では飽食する残り時間は、わずかであった。 なにかがおかしい。そのことを警告する名誉ある仕事は指導者には期待 できない状況にある。文学に期待するしかないのだろうか。
日本の近未来クライシスを描写した小説に石黒耀著「死都日本」講談社 刊がある。読み応えのある作品である。著者の処女作であるだけに注目 したい作家である。

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