命がけで取り組みますは、あらたに重責をになうことになったひとが発言する常套句である。命がけで取り組むと命をかけて取り組むとは違う、わたしは命をかけていると筆者は発言している。ふだんは、どこか冷めた猪瀬直樹の言である。猪瀬直樹は「ミカドの肖像」、「日本国の研究」などを書いたノンフィクション作家である。猪瀬直樹が何に命をかけたのだろうか。
答えは道路関係四公団の分割民営化である。最近では、テレビ報道などで著名になってしまったが、四公団は関係者以外には知られていない地味な団体であった。日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団が道路関係四公団と称されている。
なぜ作家が自分の作品とは関係のない、政治の世界に命をかけることになったのか。猪瀬直樹著、道路の権力ー道路公団民営化の攻防1000日ー、文藝春秋刊を読めば一端が理解できる。どうして、とめどもなく道路、橋、トンネルをつくり続けるのか、その構造と原因を解いている。
官僚の自己発展のための税金の無駄使い構造に鋭いメスを入れている。古くは、ピラミッドを造ったエジプト王朝もあった。万里の長城を築くために秦は滅びた。目的と方法を誤ると国は滅亡することを歴史は教えてくれる。後世、日本が誇る世界遺産を残すために高速道路網を建設しているのだろうか。官僚群の考えていることや発想は、理解できない。
猪瀬直樹が門外漢である最高権力に命をかけて盾突いている。作家の仕事は奥行きが深いなと思う。果てしなく続くのは道路だけではない。