いつも面白い本を読みたいと心がけている。どんな本が面白いのかは本人の好みの問題である。哲学や宗教の本を一字一句、舐めるように熟読玩味するのもよい。大衆娯楽小説を読み飛ばすのも楽しいものである。読書には、いろいろな楽しみかたがある。
池宮彰一郎著、平家、上中下巻、角川書店刊、1000ページ余りを面白く読んだ。源氏と平氏は武家の元祖である。当時の武家は人並みの扱いはされず、下人と蔑まされていた。昇殿できないのである。
武家の棟梁を征夷大将軍と称されている。歴史の本によると、源家でなければ征夷大将軍にはなれないらしい。天下を平定した織田信長でさえ、平氏出身ということで、征夷大将軍にはなっていない。もっとも、系図作りは常識のことなので事の真偽は、わからない。源氏も平氏も、系図をたどれば清和源氏桓武平氏となり、天皇の一族となる。みごとな万世一系である。
平家の主役は平清盛である。池宮彰一郎は、平清盛を行政改革を断行しようとした人物として設定している。時の天皇家一族の乱交と官僚を独占していた藤原一族を統制することで、国家の安定を意図したのである。権力者と、それを取巻く官僚は腐敗し国家は衰退する。国の衰退を防ぎ、安定させるために清盛は苦悩した。解決策は大陸との貿易と技術導入である。目的達成のために清盛は皇室および官僚群と虚虚実実の駆引きをする。改革の途上で清盛は亡くなってしまう。毒まんじゅうでも食わされたのだろうか。池宮彰一郎が設定した清盛像には、今の首相を彷彿させるところがある。
首相は、ひょっとして平家の系統なのだろうか。ヒマがあったら系図を調べてみよう。小説にはいろいろな楽しみかたがある。作家の構想力はすごいなと思う。これからも乱読しながら、面白かった本を勝手に紹介する。