隣り近所とのおつきあい 久和山武輝

 日常生活を送るうえで、隣り近所とのおつきあいは欠かせない。ビジネ スでのつきあいには、それなりのルールにしたがうことが暗黙のルールに なっている。
 ビジネスではお互いの利害得失という尺度が、判断の基準となっている。 お互いの利害得失が合わない場合や、いやなビジネス相手とはつきあいを 避けることも可能である。
 ところが、隣り近所とは利害損得に関係なくおつきあいを避けることが できないし、それなりのルールが個々まちまちなので、やっかいである。 おつきあいには自治会の当番や役員、団地の管理組合の各種会合や行事の 出席などとたくさんある。
 それらのすべてを避けることも可能ではあるが、評判になるほど逃げて いるとごみ出しをしても、ごみを収集してくれないなどの、とんだ町内ルー ルに発展する可能性もある。ともかく、できる範囲でおつきあいをしなけ ればならない。
 あるとき、自治会の広報担当の順番がまわってきた。広報ならばと軽い 気持ちで引き受けた。引き受けたとたんに、風俗店の出店問題が起き、反 対の住民運動に発展した。軽い気持ちが急に重い気持ちになった。週1回の 風俗店業者との話合いや会合の内容を文書にして住民に知らせるのが、広 報の役割である。署名活動、役所への陳情、業者への抗議などあらゆる活 動に文書広報が必須である。
 乗りかかった船なので、アイデアもどんどん出し、ビラやパンフレット も次から次に作成した。まわりの方からは、仕事柄お上手で速いですねな どとおだてられ、ますますその気になってしまった。おだてには本当に弱 い自分を悟った。それらの成果かどうかはわからないが、風俗店の出店は まもなく中止になった。
 住民運動をとおして、損得勘定とは無縁で奉仕する多くの魅力的な方と 知り合うことができた。隣り近所とのおつきあいは、重い気持ちにもなる が、楽しみも多いものがある。

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