新井素子に学ぶ

  十代だからこそ書けるものもある

 小学六年生の頃から童話を書き始めた。中学一年生からはSFに取り組み、二〇〇字詰め三〇〇枚の作品を書き上げた。高校生の十六歳で作家デビューした。その人が新井素子である。

 一九六〇年、東京生まれ。私の頭の中には、彼女が大学生で人気作家だった頃が強烈に残っています。もうそんな歳になったのかと、不思議な感じがします。
 彼女の話を聞くと、才能ある人は若いうちから開花したほうがいいと感じる。

 若いときに書くと、底が浅いとか、長続きしないと言われる。ほんとうにそうなのだろうか?若いうちに書こうが、歳取ってから書こうが、伸びる人は伸びる、泡のように消える人は消える、と私は思う。

スポーツ選手を見ると一目瞭然だ。十代で、一流のプロとして闘っている選手がたくさんいるではないか。年齢は関係ない。

 若い時にしか書けないこともたくさんある。その時の感性を大切にして、どんどん書いてみるのがいいと思う。歳を取ると、感動する内容や対象が変わってくる。若い時の感動も大切にしてほしいと思う。
 新井素子は作品を書き上げると、周りの友達に読んでもらったそうだ。友達はたいがいほめてくれる。けなされるよりは、そのほうが伸びる。だから友達に読んでもらうのがいい。彼女は若い作家志望者にそうアドバイスしている。
 現代社会は夢がない時代である。不景気、リストラ、就職難、少年犯罪の凶悪化など、暗い話ばかり。こういう時代だからこそ、夢のあるSF作家がもっと登場してほしいと思う。
 新井素子はもう四十代。小中学・高校生諸君。第二、第三の新井素子がもうそろそろ登場してもいい頃だ。