夢幻流もの書き道場  上山明彦著

ノンフィクションを書いてみよう(2)

 ノンフィクションを書くには、資料収集に続いて、実際に取材しなければならない。
 どこかの新聞・雑誌社に入ると、先輩から実地指導でその方法を教えてもらえるのだが、そうでない場合は自分で工夫しながら経験を積むしかない。
 しかしながら、出版社や雑誌のバックなし、経験なしという状態で取材を申し込むには、かなり勇気が必要かもしれない。
 かといって不可能ということではないし、極端にむずかしいというものでもない。取材する側に「どうしても話を聞きたいんです」という情熱があれば、たいていの人は応じてくれるものだ。
 もちろん無条件に応じてくれるわけではない。多忙で時間がない人、取材側に利用されることを警戒する人、周囲のガードが堅くて近づけない人、その他いろいろな問題があって取材できないケースもある。
 そういう場合には、紹介をもらうとか、間接的に近づくとか、いろいろば工夫が必要になる。その問題はここではひとまずどこかに置いておく。
 入門者が取材を始めるとしたら、興味のあるテーマを決め、それに関係する人をピックアップし、コンタクトを取ることから始めたよう。
 そこからはだいたい次のような順番になる。
・取材先情報を集める
・取材を申し込む
・取材とインタビューをする
・テープ起こしをする
・原稿を書く

 たとえば私が伝統工芸の職人を取材するとしよう。どういう伝統工芸があり、どういう職人がいるかについて調べるには、インターネット、出版物で調べる、伝統工芸展に行く、伝統工芸協会や職人組合に聞きに行く(これ自体取材だ)といった方法がある。
 具体的に「この人に話を聞きたい」とおもったら、取材を申し込む。要領がわかっている人なら、いきなり電話をかけて取材の日程等を交渉してもかまわない。
 それに不安があるならば、協会や組合の事務局に趣旨を伝え、職人を紹介してもらいという方法がある。
 知人・友人に紹介してもらえるあてがあるならば、積極的にそのコネを活用しよう。悪いことをするわけではないから、たぶん協力してもらえるだろう。
 職人宛に直接手紙を書くというのでもよい。手紙には取材の趣旨、どういう方法で記事にして発表するのか、取材する側の情報(名前や住所、経歴、連絡先など)を添えておく。
 コンタクトに成功したら、もう半分は成功したようなもの。さらに取材そのものが成功裏に終わったら、もう90%は成功である。
 原稿にまとめるという作業は、実はそうむずかしいことではない。いい取材をすること、これにつきる。そこが最も神経を使うところでもある。
 続きは次回。

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