夢幻流もの書き道場  上山明彦著

もの書き的ベストセラーの読み方

 2004年は若い書き手のベストセラーが続出した。『世界の中心で、愛をさけぶ』(片山恭一、小学館)は2001年の発売後、売り上げを更新しつづけている。芥川賞受賞の『蹴りたい背中』(綿矢りさ、河出書房新社)も売り上げ100万部を達成した。翻訳物では『ダ・ヴィンチ・コード(上)』(ダン・ブラウン、角川書店)や『映画版 ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 ポスターブック』がある。
 個人的にはベストセラー小説といっても内容が薄いと思われる作品が多いと思うが、売れるからにはたくさんの読者に支持されているわけで、無視するわけにはいかない。「共感できる、できない」は別次元の問題として、なぜ売れたのか、どこが読者に受けたのか、もの書きの視点から分析してみることは勉強になるだろう。

 そこで、もの書きの視点からの評価ポイントを箇条書きで整理してみた。
1.どういう読者層を主な対象としているか?
 年齢層は?具体的には幼児、小学生、中学生、高校生、大学生、社会人の20代、30代、40代から50代、60代以上。
 性別は?主に女性が多いか男性が多いか。
 これに加えて主婦層、OL層、学生層など、年齢というよりも職業的に分けられる層に支持される場合もある。

2.主な対象となる読者層のどういう気分を反映しているか?

3.ストーリーの豊かさまたは斬新さはあるか?
 おもしろい展開、あるいは独自性のある展開はあるか。

4.各種描写(情景、心理、動き、セリフ)で優れている部分はどこか?

5.各種描写(情景、心理、動き、セリフ)で劣っている部分はどこか?

6.将来性はあるか?
 具体的には、今後の活躍に期待できるか?その根拠。期待できないとすれば、どこに問題があるか?

 実際にこの評価法を最近のベストセラーに当てはめて分析してみたいと思っている。それについてはこのコーナーで順次紹介していきたい。


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