夢幻流もの書き道場 上山明彦著

協力して出版の底上げを−−2005年度後期の取り組み(3)

 前回まで出版を取り巻く状況を見てきましたが、問題は我々がこれからどういうふうに取り組んでいくか、という点にあります。これについて私の考えをまとめてみたいと思います。

●作家人、読書人、出版人の人口を拡大する取り組みに全面的に協力します
 出版人コムの力は微力ですが、これからもできることは最大限取り組んでいきます。同時に、出版文化の裾野の拡大に取りくんでいる団体・個人に対しては支援・協力を惜しみません。
 特に電子出版とインターネットは、手軽に本を発行し読んでもらうことができる強力な手段です。特長を生かしていきたいと思います。

●長期計画で子供たちに本を読み、書く喜びを伝えていきます
 文芸が発展していくためには、次世代の文化を担う子供たちの役割が重要です。子供の頃、両親に絵本を読んでもらったり、先生に楽しい童話を読んでもらった想い出は、いつまでも忘れられないものです。現代の日本では、そういう本との楽しい触れ合いの場が激減しています。
 我々はインターネットに限らずあらゆる場で、子供たちが本と触れ合い、読んだり書いたりする楽しさを知ってほしいと考えています。
 そうした取り組みを拡げていきたいと考えています。

●系統的にもの書きを育成していきます
 作家の卵が、しっかりと基礎を身につけ才能を開花できるような指導を受け、作品発表の場を持てるように、これまでの体制をよりよいものに作り上げていきます。

●優れた書き手およびその作品を長期計画で宣伝します
 発行した本がすぐに書評やマスコミに取り上げられたり、何かの賞を受賞したりすることによって、世間の読者にも支持されるというケースはめったにありません。
 ほとんどの場合、その存在すらも知られないまま終わってしまうことになってしまいます。
 才能ある書き手が社会で正当に評価されるためには、長期的かつ系統的な宣伝活動が必要です。
 出版人コムは他の組織やサイトと協力しながら、才能ある書き手とその作品の普及に取り組んでいきます。

●プロ作家に、実験的作品の発表の場を提供します
 プロ作家は既存の出版社と方法の中で作品を発表できますが、新しいジャンルを開拓したり新しい手法を採りいれた作品を発表しようとすると、既存の出版体制ではむずかしいところがあるだろうと思います。
 そういう場合、新しい試みを電子出版から開始してはいかがでしょうか?
 プロ作家の皆さんに、電子出版への理解を広めていきたいと考えています。

●英語サイトを作り、海外に日本の文学を伝えていきます
 これはすぐには着手できないかもしれませんが、本サイトの一部を英語に翻訳し、英語サイトを作りたいと考えています。日本の文学や文芸全般の中から外国に紹介したい話題を選んで翻訳し、広く外国の読者にアピールしていきたいと考えています。
 それによって日本の文学が多少でも外国の人々に理解してもらいたいと思います。そして日本から世界に通用する作品がどんどん登場してくることも期待しています。

 昨年「エドガー賞」に桐野夏生の作品「OUT」がノミネートされました。今年の5月には、絵本作家の荒井良二がスェーデンの「Astrid Lindgren Memorial Award 」を受賞するという快挙を成し遂げました。
 ようやく日本の文学が、海外の日本文学研究者だけではなく、一般の読者にも評価されるようになってきたのです。こういう作家がもっともっと登場してほしいと思います。
 微力ながら出版人コムも、そうした取り組みに尽力していきたいと考えています。皆様のご参加をお待ちしております。

 (2005.7.25)

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