夢幻流もの書き道場 上山明彦著

ミステリーを書きたい人のための入門書7冊

 「ミステリー」とは、”不可解な謎を合理的に解いていく小説”、のことである。現代が題材になったら推理小説となり、歴史上の出来事が題材となったら歴史ミステリーあるいは時代ミステリーとなる。(”不可解な謎を非合理的に解いたもの”は、オカルトやホラー小説となる。本稿ではオカルトやホラー小説は除外して考えてみる。それは別の機会に取り上げてみたい)。
 ミステリーの最大の魅力は謎解きにある。作家の井沢元彦が、その謎解きについて、3つにまとめている。
1. 誰が殺したか。
2. どのような方法で殺したか。
3. なぜ殺したか。つまり動機は何か。
「このうち、ひとつでも謎があればいいわけです。その謎を解析するのが推理であり、その推理の過程を小説化したのが推理小説と思っていただければよいわけです」(『歴史ミステリー作家養成講座』、祥伝社刊、9頁)。

 あなたはふと「これはいったいなぜ?」と思う瞬間があるはずだ。それを突き詰めていけば、一つの作品となるかもしれない。だが、ひらめきだけでは作品にならない。どうすれば他人にも評価される作品に仕上げることができるだろうか?その答えが、次の本の中になる。

●『推理小説作法―あなたもきっと書きたくなる』、江戸川乱歩、松本清張編、光文社発行。
 初版が1959年と古いが、日本を代表する作家、中島河太郎、江戸川乱歩、大内茂男、加田伶太郎、荒正人、松本清張が執筆している。推理小説に対する愛情や姿勢、考え方に学ぶところ大である。

●『推理小説入門 一度は書いてみたい人のために』、木々高太郎、有馬頼義編、光文社刊。
 上記『推理小説作法』の姉妹編。初刊が1960年。これもまた日本を代表する作家、木々高太郎、有馬頼義、松本清張をはじめ当時の監察医、鑑識課職員などが執筆している。基本的な考え方はいまも十分通用する内容である。

●『ミステリーの書き方』、アメリカ探偵作家クラブ著、講談社刊。
 アメリカでベストセラーになった本だ。「なぜ書くのか」、「アイディアの見つけ方」、「プロットの組み立て方」、「ストーリーの構成法」など、入門者にとっては必須の内容が書かれている。そのほかにも、作家としての心構え、取材調査方法、つまずきなどについて、人気作家23人が自分の経験に基づく話を展開している。

●『ミステリー・名著のあらすじ』、矢島誠、芦川淳一、山川英次郎著、永岡書店刊。
 ミステリーの歴史に残る外国と日本の名著のあらすじの紹介だけでなく、その作品の持つ意味について解説している。

●『ミステリ・ハンドブック』、早川書房編集部編、早川書房刊。
 海外の傑作ミステリーのガイドブック。海外のミステリーは発行点数が膨大である。本書を参考に、気になる本から読んでいくのも一つの方法だ。

●『ハヤカワ・ミステリ総解説目録―1953年‐2003年』、早川書房刊
 海外のミステリーは発行点数が膨大だ。全部読むことは不可能であるし、それ以前に何が発行されているのかを知るのもたいへんだ。さすが早川書房、こういう便利な本を出してくれるのだから。なんと同社で最近50年間に発行された本が収録されている。

●『歴史ミステリー作家養成講座』、井沢元彦、中津文彦、高橋克彦共著、祥伝社刊
 ミステリーの中でも、歴史の謎に迫ったものが歴史ミステリーである。ちょっと切り口を変えれば時代ミステリーにもなる。三人の人気作家が、歴史ミステリーの書き方から、自分の発想法、作品に仕上げる過程についてわかりやすくていねいに解説している。彼らの体験談を読むだけでもおもしろい本である。こんないい本が出ていたのか、と私が驚いた本の1冊でもある。

以上参考にしてください。

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