わかりやすい著作権の基礎 第4回 - 著作隣接権
今回は、著作隣接権ついて解説してみたいと思います。
世の中には「実演家」と呼ばれる人々がいます。具体的には俳優、役者、声優、朗読家、演奏家、芸能家、演芸家、手品師、曲芸師、レコード制作者、放送事業者など、いろいろな名前で呼ばれている人々のことです。
こういう人たちは、原作や脚本といった著作物をいろいろな形で大衆に伝えている人たちです。
「著作隣接権」はこういう人たちの権利を保護するための法律です。著作物を大衆に伝達する者に与えられる権利のことです。
著作隣接権も、著作権と同じで、特別な手続きは必要ありません。実演した時点で権利が発生します。プロ、アマチュアの区別もありません。
※著作物を実演するわけですから、事前に著作者の許可を得ていないと著作権の侵害となります。ご注意ください。
■実演とは何か?
そもそも実演とは何を指すのでしょうか?
著作権法には「著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演じること」、「著作物以外のものを演じる場合で芸能的な性質を有するもの」と書いてあります.
まず著作物があって、それを大衆に伝えるために何らかの形で演じることを意味しています。原作の小説があり、それを朗読する。脚本があり、それを舞台や映画やテレビで演じる。楽譜があり、それを会場やテレビで演奏する。そういったことを実演と呼んでいます。
※スポーツ競技は実演ではありません。しかし上海実技団やアイススケートショーのような大衆向けの芸能活動は実演に当たります。
■実演家とは何か?
では実演家とはどんな人たちを指すのでしょうか?
条文には、実演家とは「俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行なう者及び実演を指揮し、又は演出する者」とあります。
具体的には演奏家、俳優、役者、声優、芸能人、タレント、ミュージシャン、パフォーマーといった人たちを思い浮かべればよくわかります。
■実演家の権利
実演家の権利について詳しく見ていきましょう。
●実演家の権利
実演家の権利について詳しくみていきましょう。著作権とほぼ同じような権利が保護されています。
大きく分けて、実演家人格権、許諾権、報酬請求権の三つがあります。それぞれがさらに細かく分かれています。
1. 実演家人格権
氏名表示権
同一性保持権
2. 許諾権
録音権、録画権
放送権、有線放送権
送信可能化権
譲渡権
貸与権
3. 報酬請求権
二次使用料請求権
貸与報酬請求権
それぞれの権利の内容を見ていきましょう。
1. 実演家人格権
●氏名表示権
実演家は実演するときに実名にするか、ペンネームや芸名にするかを決定できる権利を持っています。
●同一性保持権
実演家は自分の実演の内容を改変されない権利を持っています。
2. 許諾権
●録音権・録画権
実演家は、実演内容を無断で録音、録画されない権利を持っています。
●放送権、有線放送権
実演家は、実演内容を無断で放送されない権利を持っています。
●送信可能化権
実演家は、実演内容を無断で送信可能化されない権利を持っています。送信可能化とは具体的にはサーバーヘアップロードすることを指しています。
●譲渡権く第95条の2〉
実演家は、実演の録音・録画物を無断で公衆に譲渡されない権利を持っています。
●貸与権(第95条の3)
実演家は、実演が録音された商業用レコード(市販のCDなど)を無断で公衆に貸与されない権利を持っています。
です。
※レンタル禁止期間は発売後1年間です。1年が過ぎればその利用料金を請求する権利(報酬請求権)に変わります。
3. 報酬構求権
何らかの形で実演が記録されたものを他人が利用したときに、利用料金を請求できる権利のことを報酬請求権といいます。
次の二つがあります。
●レコードの二次使用料請求権
実演が録音・録画されたレコードやCD、DVD、ビデオなどが放送・有線放送で使用されたときに、その事業者に対して使用料を請求できる権利のことを指します。
●レコードの貸与報酬請求権
実演が録音・録画されたレコードやCD、DVD、ビデオなどが、レンタルショップから大衆に貸与された場合に、その使用料を請求できる権利のことを指します。
レンタル禁止期間は発売後1年間ですから、2年目からこの権利が適用されることになります。
これまで4回にわたって著作権、著作隣接権について学んできましたが、とりあえず基礎はこれで終わりました。連載はひとまずこれで終わりにします。
また、著作権が問題になったときにこの連載を再開したいと思います。
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