らく  ぶん きょう  しつ   
小中学生のための文教室       上ノ山明彦著

みんな才能を開花させる能力を持っている

 今回はちょっと趣向を変えて、皆さんがだれでもすごい才能を秘めているということを説明したいと思います。今このホームページでは小説家、童話作家、エッセイストになるための話が中心になっています。皆さんの中には、自分の親を見たり、今の自分の学校の成績を見たりして、「自分には作家になる才能がない」と考えている人がいるかもしれません。そういう人たちに、村上和雄という遺伝子の研究で世界的に有名な教授の言葉をご紹介したいと思います。
 人間の細胞一つ一つには核があり、その中に遺伝子(DNA)が入っています。そこには千ページの本にして千冊分の情報が書き込まれています。その情報を使って、私たちの体は造られているのですが、実際にはわずか5%くらいしか使われていません。残りは使用しない状態、つまりOFF(オフ)の状態になっていると考えられます。そこにはいったいどんな情報があるのでしょうか?それを使用できる状態、つまりON(オン)の状態にすれば、その人の能力が驚くほど向上するのでしょうか?実はそういう可能性を秘めているのです。
 親子の遺伝の要素はある。しかしそれがすべてではない。誰でも無限ともいえる可能性を秘めている。と村上和雄は語っています。才能がないのではなく、遺伝子がONになっていないだけであると。
 では遺伝子をONにするにはどうしたらいいのでしょうか?もっとも大切なのはプラス思考、つまり物事をいい方向に考えることです。自分がやりたいと思ったことは必ず実現できると信じること、その実現のために実際に行動すること、壁にぶつかっても自分を信じ決してあきらめないことです。
 自分の才能を信じるというのは、今の学校教育ではむずかしい面もあります。学力面ではすべてがテストの成績、偏差値で評価されてしまいます。ほとんどのテストがどれだけたくさんのことを記憶しているか、ですから、その成績が良いから才能がある、悪いから才能がない、とは決して言えないのです。
 今の学校教育の中で、才能を秘めたあなたたち子供が押しつぶされそうになっているのを見るとき、怒りを感じる反面、自分の力の足りなさにいらだちと焦りも感じます。
 でもあなたたちには自分で突き進んでいけるパワーも持っています。手を差し伸べてくれる大人は少ないかもしれませんが、決してゼロではありません。きっといつの日か力を合わせて何か大きなことに挑戦することができるかもしれません。
 どんな道を進むにしても楽な道はありません。将来に夢を持ち、自分の才能を信じ、努力を惜しまず、忍耐力を持って進んでいってください。そうするうちに、あなたの力を何倍にもする遺伝子がONになり、思わぬ才能を発揮することになるでしょう。
 しかも、遺伝子は年を取ることがありませんから、それは年齢にも関係がないのです。
 そういうことを村上和雄が:『生命の暗号 あなたの遺伝子が目覚めるとき』(サンマーク出版発行)の中でわかりやすく説明してくれています。この本はむずかしい式や記号や理論は出てきません。普通のエッセイのように読むことができます。中で紹介されているエピソードも非常におもしろいです。
 この本を読み終えたとき、あなたはきっとやる気にあふれていることだと思います。ただむやみに信じろというのではなく、科学者の目でその根拠をやさしく説いてくれるのです。
 下記にその本の中から重要な箇所を引用しました。できれば本を手に入れて、全文を読むことをお勧めします。

 たとえば理数系が苦手だと「親も苦手だった」とすぐにいいます。親のほうも自分が苦手だと「しかたがない」とあきらめてしまいがちです。たしかに頭のよしあし、運動能力などは、遺伝的な要素が関係します。
 でも、自分のなかにすぐれた要素がないわけではありません。あるけれどもONになっていないだけです。そうでなければ天才の出現が説明できない 天才は代々引き継がれてきた遺伝要素が何かのきっかけでONになった人なのだと考えられます。
「トビがタカを生む」というのがこれですが、天才の子供がおおむね凡庸なのは、才能の遺伝子がON/OFFを繰り返しているからかもしれません。
 人間の遺伝子のなかには、代々の先祖だけではなく、過去何十億年にわたって進化してきた過程の記憶や能力が入っている可能性があります。受精から誕生までに進化の歴史を再現するのは、最初の細胞の遺伝子のなかにそれらの情報が入っていたからです。極端にいえば一人の人間の遺伝子に人類すべての可能性が宿っている。だからすぐれた親は、パツとしない自分の子を見てがっかりしてはいけないのです。
 パッとしないのは遺伝子がONになっていないだけ。いつどこでどんな才能に火がつくかわかりません。遺伝子は年をとらないのです。十代のときと八十代のときの遺伝子は例外を除いて一緒です。もし遺伝子が年をとつて老化していたら情報を子疎へ伝えることができません。少なくとも基本的に遺伝子は老化しません。
(中略)
 人間はいくつになっても、自分の才能を開花させる能力をもっているのです。あることをやろうという情熱と実行力があれば、どんなことも可能性はゼロではない。それを阻害するのは「もうダメだ」という気持ちだけです。

 出典:『生命(いのち)の暗号―あなたの遺伝子が目覚めるとき』、村上和雄著、150-151頁、サンマーク出版発行


(2007.12.8)

●前ページへ