らく ぶん きょう しつ
小中学生のための楽文教室 上ノ山明彦著
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名作から学べー第1回『ナルニア国ものがたり』
今回から実際に書かれたファンタジーの名作からどんなふうに学び取っていくか、についてお話ししていきます。
小説をばくぜんと読んで楽しむのは、それはそれでいいのです。悪いことではありません。
私がここで言いたいことは、小説はこういうふうに考えて書かれているんですよ、ということも知ってほしいということなのです。
最初に読むのには『ナルニア国ものがたり』がいいのではないかなと思います。1950年〜56年にかけて、C.S.ルイスという人が書いた本です。7巻まであります。ファンタジーの古典のひとつです。
第1巻の『ライオンと魔女』は映画化され、DVDにもなっています。先にDVDで映画を見て、それから原作を読んでみるというのもいい方法だと思います。映画は原作にかなり忠実に作られています。
さて、どういう点に注目して原作を読んでいったらよいでしょうか?
●ストーリーの展開が、ファンタジーの典型である点
読み手が空想の世界に引き込まれていくには、話の最初の部分が大切です。この本では、4人兄弟姉妹の末っ子が何気なくタンスの中に隠れたところから冒険が始まります。それまで普通の暮らしをしていた兄弟姉妹が、突然冒険の旅に出発するのです。
こういうふうに普通の人があるきっかけで、まったく別の時間と空間に支配された世界にまぎれこんでしまうという話は、今では多くのファンタジー作品に使われています。『ナルニア国ものがたり』はその手本となっている作品です。
奇 想天外な世界の話も、その世界に入りこむ段階で、読み手に「なんかありそうもない話だなあ」と思われてしまったら終わりです。その先は読んでもらえません。
『ナルニア国ものがたり』は、現実の世界と空想の世界の両方が、まるで目の前に見えるように現実感を持って描かれています。
●情景、人物、心理、セリフのそれぞれの描写が
このコーナーでこれまで説明してきた小説のいろいろな要素について、『ナルニア国ものがたり』ではどんなふうに描かれているか、よく読んでみてください。
子供向けの童話やファンタジーでは、これらの描写がかなり簡単に書かれているものが多いです。年齢に応じて理解力が違うという問題もありますから、やたらと詳しく描けばいいというものではありません。
読んでほしい読者を思い浮かべながら必要なことをできるだけわかりやすく描く、というのが大切なのです。
長くなりましたので、今回はここでやめておきます。(次回に続く)
<シリーズのタイトル>
●ライオンと魔女 ナルニア国ものがたり(1)
●カスピアン王子のつのぶえ ナルニア国ものがたり (2)
●朝びらき丸東の海へ ナルニア国ものがたり (3)
●銀のいす ナルニア国ものがたり (4)
●馬と少年 (岩波少年文庫―ナルニア国ものがたり)
●魔術師のおい (岩波少年文庫―ナルニア国ものがたり)
●さいごの戦い (岩波少年文庫―ナルニア国ものがたり)
(2008.4.1)
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